子供の落書き帳 Remix

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面白くて鳥肌が立った本 マルコム・グラッドウェル「天才! 成功する人々の法則」
2012/10/15(月) 01:06:32

マルコム・グラッドウェルの「天才! 成功する人々の法則」を読んだ。
天才!  成功する人々の法則
天才! 成功する人々の法則


図書館に返さなければいけないので、読んだのは
プロローグ、第一章から第五章、第七章、第九章、エピローグと解説と注解。
……「第六章と第八章以外」と言ったほうが早いかな。



本書は、成功した人々に対する「努力と個人的資質がすべてを決める」という考え方をひっくり返す本だ。
成功するための外的環境を明らかにする。
『……独力で成功をつかんだように見えるかもしれない。だが実際、そういった人々は必ず隠れた優位点や、特別な機会、文化的な伝統の恩恵を受けており、そのおかげで熱心に学び、仕事に励み、他の人には出来ない方法で世界を理解するのだ。(24pより)』



特に印象に残ったのは第二章「一万時間の法則」。
あなたも「天才」になれる? 10000 時間積み上げの法則 | Lifehacking.jp

音楽学校に通うバイオリニストやピアニストのなかで、出来が優秀か否かは練習時間で決まる。
トップクラスの生徒になると総計10000時間、対してプロに行けそうもない生徒は4000時間。

競争が激しい分野では、他人より長く取り組んできたかが勝負を分ける。
……そんな文章を羽海野チカ「3月のライオン」で見たな。
羽海野さん、もしかしてグラッドウェルの「天才! 成功する人々の法則」読んでたのかな。


「信じれば夢は叶う」
それは多分本当だ
但し一文が抜けている
「信じて努力を続けていれば夢は叶う」 
――これが正解だ
さらに言えば 信じて
「他のどのライバルよりも1時間長く 
 毎日努力を続ければ 
 ある程度迄の夢は、かなりの確率で」叶う――だ

3月のライオン7巻より。
A small,good thing  「3月のライオン」7巻感想 宝物写真付を参照した



もっとも、こういうパターンだけではない。
傍流といえる分野で長い間仕事を続けていたら、その分野がいつの間にか世間から求められるようになって
すでにライバルよりも長い経験を積んでいた人が大勝利、という場合もある。
第五章の弁護士の話を参照。
『20年かけて、スキャデン・アープスで腕を磨いた。すると、世の中が変わり、いつのまにかフロムは準備ができていた。逆境を克服したのではない。逆境が好機に変わったのだ(148pより)』


一日に何時間も、毎日のように同じ仕事をしなければ、10000時間は達成できない。
先ほどの例であれば、ピアノやバイオリンの練習。
また、ビートルズの演奏が並外れた長時間であったこと、
ビル・ジョイやビル・ゲイツがプログラミングを昼も夜もやり続けたことを扱っている。

自分の人生を振り返っても『10000時間』に該当するものは無いと思う。
一日に3時間、毎日やり続けたとしても9年ちょい。
千里の道も一歩からというか、ローマは一日にして成らずというか、気の長い努力が必要なわけだ。

1時間を寝転んでニコ動を見て過ごしたとしても、研究なりプログラミングなりして過ごしたとしても、
その瞬間は大きく変わらない。
だけど1ヶ月、1年、何年も積もればジワリジワリと差がついてくる。
そうなってからでは、どう頑張っても取り返せない。
……自戒。



第三章・第四章。

ここではIQが195の男が登場する。
学校(高校?)では『外国語のテストが行われる教室にふらりと現れ、何の準備もしていないのに、試験管が来る前の二、三分ざっと教科書に目を通しただけでA(優)を取った』。
すげぇ。こんな頭脳が欲しいなぁ。
こんなに頭脳明晰なら、きっと研究者になって素晴らしい論文や著作を大量に書いているに違いない。
そう思うだろう。
だが実際にはこの人、酒場の用心棒を経て、現在は農場で静かに暮らしている。
何故そんなことになったのか。それは本書を読んでみて欲しい。


ターマイツと呼ばれた天才児たちの運命を分けたものは家庭環境だったという結果は
なかなか考えさせられる。下層階級の天才児は多くの場合その才能を潰されてしまうのだ。


ちなみに。
本文中にあった「ロナルド・K・ホーフリン(Ronald Hoeflin)の作成した特別なIQテスト」。
"Teeth is to Hen as Nest is to ________?"
Mega Test IQ - Hmolpediaによれば、、これは英語圏で本をよく読んでいないと出来ない問題らしい。
だから、直訳して
「歯と雌鶏との関係は、巣と何との関係に相当するか?」といっても、日本人は誰も解けない。

上記のサイトによれば、答えはこうだ。
昔使われた英語で、"hen's teeth"と"mare's nest"というイディオムが存在する。
どちらも「実在しない」ことから、
hen's teeth :存在しないもの、皆無
mare's-nest :でっち上げ、詐欺/期待はずれ、馬脚を表すこと
を表すらしい。
……この2つのイディオムの意味が別々であることは別に構わないらしい。なんだか釈然としないが。
「イディオムになっている」「実在しない」ことが正解を絞る条件らしい。

以上の和訳は英辞郎によった:
hen's teeth:英辞郎
mare's nest:英辞郎



しかし、こういうのってどうやれば書けるんだろう。

本書を貫くテーマは一貫しているが、各章ごとに違うシチュエーションを扱っている。
第五章を書くにあたって法律事務所について文献調査を行なったかと思えば、
第七章を書く際には飛行機事故の調査報告書や、国民性と文化について読まなければならない。

論文を読むにしても、マルコム・グラッドウェルは大学の研究者というわけではないから
論文を簡単にダウンロードするわけにいかないだろう。手間とカネがかかりそうだ。

著者のかけた労力の大きさを思うと、
これだけ調べたものが一冊の本にコンパクトにまとまった本書は、間違いなく読んで得するのではないか。



最後の注釈では、本文で挙げた具体的な事例の出典が書かれている。
これだけ本文の書き方が上手いと、参考文献をどれもこれも読みたくなってしまうんだ、が……
殆ど日本語に翻訳されていないようなので、読むのは苦労しそうだ。
次に読みたいものは、10000時間の法則に関するエリクソンの論文かなぁ。

The Role of Deliberate Practice in the Acquisition of Expert Performance
和訳は「専門的な能力の獲得における意図的な訓練の役割」で良いですかね。
専門誌の論文だが、幸いなことに無料でPDFが見られるらしい。

それでは。

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