子供の落書き帳 Remix

15/4/13:ひと月に一度更新するブログになってしまっている

馬田隆明「逆説のスタートアップ思考」まずは何かを作り始めてみよう
2017/12/30(土) 23:54:30

馬田隆明「逆説のスタートアップ思考」を読んだ。

著者は東京大学でスタートアップや学生プロジェクトの支援を行っている。タイトルの通り、この本はスタートアップに関するものだ。しかし俺自身はスタートアップを始めて起業しようという気は毛頭ない。何をやるのかも定まらないうちに「とにかく起業したい」というのは全く筋が通らないと思っている。

じゃあなんでスタートアップの本を読んだかというと、この人の発表スライドに関心を持ったからだ。
今年(2017年)2月のデブサミでの「逆説のキャリア思考」という講演のスライドで、下のリンクから読める。
逆説のキャリア思考 - スタートアップ思考をキャリアに活かす from Takaaki Umada

すなわち、俺の興味関心というのはここのところ専ら自分のキャリアに集中しているのだ。ここ最近のブログ記事もそれを反映したものが多い。
なお、筆者である馬田隆明氏のスライドは、どれも非常に内容が充実しているのでオススメである。
Takaaki Umada’s Presentations on SlideShare
また、Medium上でも精力的に執筆活動を続けている。
Taka Umada – Medium

以下、読んでいて気になった箇所を引用したのち、それぞれにコメントしていく。全6ヶ所。
・スタートアップの非合理なアイデア
・頭の良い人が週末にやっているアイデアか?
・大企業とイノベーションのジレンマ
・最初のバージョンが恥ずかしいものでなければ、それはリリースが遅すぎだ
・どんな環境に身を置くかという選択の重要性
・まずは何かを作り始めてみよう

p42 スタートアップの優れたアイデアとは不合理なアイデアである


スタートアップの特徴の一つが「非合理性」だということは本書の大きなテーマであり、本の中で繰り返し語られる。誰が見ても良いアイデアならば、既に他の誰かが参入している、またはすぐに他が参入してくる。だから一見悪いアイデアに見えて、実は良いアイデアを実現しなければならない。この話は「ストーリーとしての競争戦略」でも語られていた。

p66 「頭のよい人が週末にやっていることが、10年後の普通になる」と言われます。(中略)インターネットやスマホは、科学者やギークしか使っていなかったものでしたが、急激に一般の人たちに使われるようになりました。


これは最初に読んだときに「え、これは逆なんじゃないの?」と思った。上で言っている「既に他の企業が多数参入してるものはやめておけ」というのと同様に考えてみる。「頭の良い人がやってるならば、今から始めてもその人たちに負けてしまうからやめておけ」、という結論になってしまうのではないか。(週末にやってるだけならば、本業としてやれば負けなくはない、ということか?)……誰か教えて。

p104, p106 クリステンセンらによれば、大企業が破壊的イノベーションに対応できない理由は「破壊的イノベーションに気付けないのではなく、あくまで合理的に判断した結果、破壊的イノベーションに対応しないという選択肢を取ってしまう」あるいは「取らざるをえない」とされています。
(中略)つまり組織は破壊的イノベーションそのものに負けるのではなく、組織による合理的な判断によって失敗します。



うーん。合理的に判断したら失敗するなんて、どうすれば良いんだよ。
スタートアップの立場から見れば、不合理に見えるアイデアを実現すればイノベーションのジレンマを利用して大企業を罠にはめることができる。だけど俺が今所属しているのは紛れもなく大企業なので、どうしても大企業側の立場で考えてしまう。そうすると「合理的に考えたらイノベーションに参画しなくなり、地位を追われます」という話になるんだが。

p.156 (既存のレストランの商品の配達をしようとしたスタートアップ)が行ったことは、独自ドメインを取って、ネット上で見つけたスタンフォード大学周辺のレストランのメニューを集めたサイトを作り、そのメニューと一緒に自分たちの電話番号を書いただけでした。かかった時間は1時間ほどだったそうです。
p.158「最初のバージョンが恥ずかしいものでなければ、それはリリースが遅すぎだ」とLinkedIn創業者であるリード・ホフマンは言っています。



まずはアホみたいに単純なものを作って、それで反応を見てみるのが良い、という話。すると「長期間かけて作ったものが全然売れない」という悲劇を避けることができる。
そういや「サービス作ったけど誰も登録せずに大失敗したわ」って記事を見かけたな。それがこちら→WordPressでマッチングサービスを3日で作ってリリースした話 3日なら良い方なのかな。これがもしも、1ヶ月頑張って作ったのに誰も登録しませんでした、だと時間のロスが大きくなってしまう。
ちなみにサービスを作った人は、失敗の経緯を マッチングサービスを開発したら大失敗したのでその理由を解説してみたという同人誌にまとめて技術書典で頒布していた。 (Qiitaに同人誌の章立てとかをある程度書いていたが削除した様子。)そしてさらにエンジニアを辞めたくなったら同人誌を書くべき4つの理由 - Qiitaを書くなど、転んでもただでは起きない感がすごい。

p.227どんな環境に身を置くかという選択は、運を引き寄せるために取ることができる最良の手段の一つ


著者は言う。スタートアップ同士は助け合うし、もし事業が失敗しても他のスタートアップが拾ってくれることはありえる。だから他の起業家とのネットワークは重要である、と。
より一般に、スタートアップという側面を抜きにしても、環境という要素の重要性は肝に銘じなければならない。自分のやりたいこと、進みたい方向に適した環境であるかを考えなければ。
引用箇所は「運」という章の中にある。そこからも分かるように、この環境だから必ずこうなる、というわけではない。だけど、「運」あるいは「流れ」、キャリア論の用語を借りてくれば「計画的偶発性」。何という名前で呼ぶかはともかく、この環境だからこうなる傾向がある、は確実に言えるだろう。

p.252 これも反直感的ではありますが、本当にやりたいことは、そもそもやってみないと分からない、のです。だからこそ、まずは何かを始めてみましょう。


この本では「特に」という一言で片付けられてしまっているが、「作る」の重要性について書いておきたい。
この言説は、ヨッピーが「明日クビになっても大丈夫!」の中で言っていることと同じである。ただ両者の視点は結構違っている。
「逆説のスタートアップ思考」はスタートアップをこれから始める人、あるいは既に始めている人に主に向けた本だ。その読者層にとって「何かを作る」というのは当然とも言えるので、わざわざ説明する必要もないのだろう。
一方で、ヨッピーの本は悩める普通の会社員に向けた本なので、「消費する趣味」よりも「生産する趣味」にしよう、という主張がメインになっている。(例えば、「映画を見るのが好きなら、観た感想をブログに書き続けてみよう」といった話が書かれている。)趣味を生産型にするとはどういうことか、「生産する趣味」に変えるとどういうメリットがあるか、という論点に多くの文字数をかけて説明している。この「生産する」を言い換えると、「何かを作る」となる。
では、「生産する趣味」のうち「趣味」の部分はどうか。こちらについても、「逆説のスタートアップ思考」の中にぴったり符合する部分を見つけることができる。「いきなり事業を始めるよりも、まずは副業・サイドプロジェクトから始めよ」というのが、先に引用したすぐ後の部分で書かれている。事業を意識した書き方なので流石に「趣味」とは書いていないが、内容としては同じことだ。そして「いきなり会社をやめて別の事業を始めるのはリスキーすぎるからやめろ」というのが二冊で共通した意見である。
二冊の著者の職業や経歴はだいぶ異なるが、それでも意見は同じところに収束している。


以上、おしまい。スタートアップを始めている人・始めようとしている人が主な読者だとは思うが、それらの人でなくても、得るところの大きい本だと思う。
それでは。
  1. 2017/12/30(土) 23:54:30|
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若いうちからワークライフバランスを重視すべきでないのはなぜ? 「未来をつくるキャリアの授業」
2017/11/25(土) 23:41:20

久しぶりのブログだ。
勤労感謝の日だからってわけじゃないけど、仕事(キャリア)の話を書く。


「未来をつくるキャリアの授業 最短距離で希望の人生を手に入れる!」を読んだ。
コンサルや金融など、やたらとエリートっぽいキャリアの話に偏っていたから、合わないかなーと思ったが、なかなか意外とためになった。
その中で心に残ったことを一点だけ書く。

最近の若い人はワークライフバランスを重視している。新入社員のうち、企業に対して、「残業がない・休日が増える」ことを求めている人の割合は、年々増え続けている。2017年には、「給料が増える」ことを求める人を上回った。
2017(平成29)年度 新入社員意識調査アンケート結果~生活のバランスは「自分ファースト」。理想の上司は「寛容型」~ 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

しかしながら、この潮流とは逆に、筆者の渡辺秀和は若いうちのワークライフバランスに懐疑的だ。


……若いうちから大きな理由もなく、「長時間労働は嫌だ」「プライベートを重視したい」という働き方を選ぶと、キャリア設計にリスクが伴うことは知っておいていただいたほうがよいでしょう。(「未来をつくるキャリアの授業」p.151)


これはどういう理由だろうか。

◆ハードワーク派とワークライフバランス派のキャリアを比較する



若いうちにバリバリ働いた人とプライベートを重視した人は、その後どうなるのだろうか。筆者は、寓話「アリとキリギリス」になぞらえて説明している。
曰く、20代のうちは目に見える大きな差は無い。しかし30代に入ると、ハードワークをしたアリさんは社内での評判も上がり、人材市場でも評価されるようになる。若いうちに呑み会に明け暮れたキリギリスさんは、スキルが無いので年収が上がらない。30代半ば以降は、マネージャーや役員となったアリさんは仕事を部下に任せ、2人の労働時間はほとんど変わらないだろうという。
50代になると、アリさんのポジションはさらに上がり、早期引退をする経済的自由を手に入れる。しかしキリギリスさんは社内評価も良くないので、リストラに怯えながら低収入で働き続けなければならない。これではワークライフバランスは良いとは言えない。


(前略)30代半ば以降は、アリさんとキリギリスさんのワークライフバランスはそれほど変わりません。それにもかかわらず、アリさんは大変高いポジションを得て、年収も数倍となっています、実は、ワークライフバランスの差がある時期は、20代から30代前半までの10年程度の短い期間だけでした。この間に仕事に打ち込んだか、遊んでしまったかが、決定的な差を生んでしまったのです。(「未来をつくるキャリアの授業」p.155)



「若いうちはとにかく働け」という意見は今までも聞くことがあった。しかし、その理由が明快に説明にされているものはなく、感情論としか思えなかった。長期的な結末までしっかりと説明されていたので、今回初めて腑に落ちた。

◆若いうちに働いて得るべきものは何なのか?



以上の話を踏まえると、長時間働けば何でも良いというものではないことも分かる。大事なのはスキルや評価の方だ。……と考えたところで、別の本のことを思い出した。

深い知識、幅広い経験、高度なスキルは、身につけるのに大変な労力と時間を要します。そのため、仮に他の人(素人)に同じ仕事をやらせようとした場合、企業は学習やトレーニングをさせ、その費用を負担しなければいけません。
(「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」p.230)

その仕事に必要な知識、技術、経験を地道に積み上げて、他の人が同じことを身につけようとすると長い時間と費用がかかるような「資産」を身につけるのです。過去に作り上げた土台を使って、現在の仕事を行うのです。(同上、p.254)



木暮太一は、「全力ジャンプを続けて高いところを目指すような働き方をするな」「土台(=資産)を積み上げて、その上で手を伸ばして高いところに届くようにするべきだ」という。土台(=資産)というのは比喩であり、具体的には「知識、技術、経験」である。
ハードワークをしても、「知識、技術、経験」が身につかなければ意味がない。それは全力ジャンプを繰り返しているだけで、土台ができているわけではないからだ。(むしろ激務に限らず、普段の仕事の中でも、「知識、技術、経験」が増えているか考えなければならない。)


◆なぜ、「年を取ってから頑張って働けばよい」ではいけないのか?



若いうちに働いて年を取ってから楽をするのも、若いうちは遊んで年を取ってから一生懸命働くのも、合計すれば同じではないか。一見するとこう考えることもできる。
しかし、それが同じではない理由が2つある。

一つの理由は体力的なものだ。こちらは本に書いてあったが、若いうちならば無理が効くけれども、年を取ってからは激務には耐えられなくなる。
もう一つの理由は「若いうちに働いて技術を身につけた人と、若いうちに遊んだ人だと、難しい仕事を任せるときに技術がある人に優先して任せるだろうから」

人を使う側を考えれば分かると思う。マネージャーの経験がなくとも、例えばポケモンやドラクエをやっていたときのことを思い出そう。少しレベルが上がっているとパーティーに組み入れて、そのメンバーを積極的に使い、経験値が溜まるからさらにレベルが上がる。一方で、使わない控えのメンバーはいつまでも使わないでレベルが低いまま……こういうことはないだろうか。多分会社の中でも、また人材市場の中でも、同じことが起きるのだろう。

基本的には残業時間は少ないほうだし、それはそれで良いことである。しかし、この状態で「知識、技術、経験」をもっと得ようと思ったら、業務外で頑張るということになる。つまり自主勉強というやつだ。勉強……最近あんまりしてないぞ。うーん、遊んでばかりじゃダメだなぁ……
それでは。
  1. 2017/11/25(土) 23:41:20|
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東京→宮城に移転したNECトーキン、米国企業に売られてNECグループから外れる
2017/07/06(木) 01:26:27

2012年に、あるNECの子会社がオフィスを東京の神保町から宮城県の白石市に移転を決めた。その際の従業員と見られる書き込みが話題になったことがあった。

全文表示 | リストラ発表したNECトーキン ネットに社員が書き込み?「安泰だと思ってたのに!」 : J-CASTニュース
【コピー】今まさに倒産していく会社の内情がすげえ : 【移転しました】旧ロブ速 (ロブ速)

ふと思い出して、検索してみたら、現在はもうNECの子会社ではなくなっていた。
2017年の4月19日に、アメリカのKEMET社がNECトーキンの株式を取得したため、NECトーキンはトーキンという社名になり、KEMETの子会社になった。


上記のロブ速の記事を見ると、

2010年連結売上高648億円
連結従業員数10662名


と書いてある。
単純に計算すると、従業員1人あたりの売上が607万円。これだと黒字にするのは厳しかっただろう。

NECグループからの離脱を伝えるニュースリリースでは、連結社員が5257人。
従業員数は7年で約半分になった。
会社概要によれば2015年度の連結売上高は553億円で、こちらは2010年から約15%減少。売上の芳しくない部署を削減したんだろうな。

三洋の家電部門がハイアールに買収されるなど、親会社が外国企業になる例も最近では珍しくもない。
珍しくもないけど、譲渡されていたのを見ると「あー、ここも外国資本の傘下になったのか」と少し驚く。

当時のNECの決断に従って、神保町から白石の田舎に移った人は、その後どうなったのだろう。
リストラの希望退職に応じて結局辞めたかもしれないし、そうでなくとも結局はNEC本体が会社ごと売り払ったわけで。
会社がいつまでも同じままで存続すると思ってはいけないのだなぁ。
  1. 2017/07/06(木) 01:26:27|
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映画版「3月のライオン」後編のストーリーが原作と違いすぎてひどい
2017/06/15(木) 00:39:42

映画版「3月のライオン」後編のストーリーが原作と違いすぎてひどい

映画版の「3月のライオン」後編を観た。羽海野チカの漫画を原作とした映画である。
前編はほぼ漫画と同様のストーリーであったが、後編では話の筋書きがおかしい点が多くて残念だった。原作よりも異様に登場シーンが多い人物がいたり、原作のメッセージがまるで違うものになったりしている。
以下の点について説明する。

■香子と歩の登場が原作より遥かに多い点
■ついでに後藤の登場も原作より多い点
■宗谷の耳が聞こえない話は必要だったのか
■父親の件:零が結婚を持ち出す話が、暴走の一部として語られる
■零が林田先生に対して、学校を辞めると言う点



■香子と歩の登場が原作より遥かに多い点

零はもともとの家族を交通事故で失ってしまい、次に養子に入った先の家族からも疎外される。この「養子に入った先の家族」での姉と兄(弟?)が香子と歩である。この2人の出番が、原作よりもずっと多い。
香子に至っては映画サイトのキャスト紹介で2番目に登場する。原作ではあまり出番のないキャラクターであり、この位置に出て来ることにはかなり違和感がある。(2番目に誰がふさわしいかは難しいところだが、ライバルの二階堂晴信か、メインヒロインの川本ひなただろう。少なくとも香子ではない。)

原作の10巻の97話では、「この家ではもう 誰もこの子の名を口に出すものはない」(この家=幸田家、この子=桐山零)と書いてある。幸田家との繋がりがすっかり切れていることが読み取れる。養父である幸田父は色々と気にかけているようだが、他の3人との親交は断絶している。
「3月のライオン」は、家族という繋がりを持てなかった零が、川本家、学校の人たち、将棋仲間の人たちとの繋がりを築いていく物語だと思っている。
しかし映画では、逆に家族(幸田父、香子、歩)との繋がりを取り戻す方向でシナリオが展開している。零は自分が出る対局の観戦チケットを、わざわざ歩に渡しに行く。原作では幸田家に足を踏み入れることすらほとんど無いというのに。香子も新人戦に勝った零におめでとうと電話をかける。原作にはない描写だ。
原作の方向性とは正反対になっていて、 何でそういう方向転換が起きたのか疑問。原作で伝えたかった物語のメッセージをねじ曲げているようにしか思えないのだが。

■ついでに後藤の登場も原作より多い点

それに引きずられたのか、後藤正宗(香子の片思いの相手)の出番も妙に多い。
零は獅子王戦の挑戦者を決めるトーナメントを勝ち進み、後藤と対戦している。原作にはない展開である(原作でこれから書く予定だという可能性はある。映画サイトのプロダクションノートによれば、羽海野チカは漫画の最後までのプロットを映画製作者に伝えたらしいので。)後藤と香子の会話シーンも大幅に増えている。

これは推測だが、香子の役を演じる有村架純の出番を増やそうとしたら、香子と歩のストーリーが増え、後藤のストーリーが増えてしまったのではないか。有村架純が出てくるのに、漫画版の香子のような端役ではもったいない。では香子の登場を増やそう……という結果、今の脚本ができてしまったのではないだろうか。

終盤で有村架純が演じる香子が「この家は将棋に狂わされたのだ」と泣き崩れるのだが、それを見ていた私は「それをいうならば、この物語は有村架純(の出番の増加)に狂わされたのだ」と、なんとも滑稽な気分であった。

■宗谷の耳が聞こえない話は必要だったのか

宗谷の耳が聞こえない話、カットして良かったのでは?
その後のストーリーとの繋がりが無いため、時間制限がある映画の脚本の中で語る必要はないと思う。
(漫画でも、宗谷の耳の件はその後に繋がりが無い。これから何か絡んでくるのかな。)

原作だと、零が宗谷の異変に気づいて会長に電話をして、会長が宗谷の事情を説明するので、話が出て来る妥当性がある。
これに対し映画だと、上記の場面はカットされている。宗谷の対戦したあとの零が島本と話しているシーンで、島本が「じゃあお前も知ったのか」と言い出し、「え、何を?」「実は宗谷は……」と島本が説明に入る。映画だと島本が唐突に話を始めた感が強い。

なお原作では原因不明とされていたが、映画では「ストレスだろう」と理由が説明されている。

■父親の件:
映画後編の後半のメインテーマとして、「三姉妹のもとから出ていった父親の登場」がある。

映画のあらすじは以下のとおりだ。
父親の甘麻井戸誠二郎が突然登場、三姉妹との同居を提案
→零は誠二郎の状況を調べて暴露する
→零は「ひなたとの結婚を考えている」と切り出す
ここまではほぼ原作通り。しかしこのあとの筋書きは原作と異なってくる。

モモが誠二郎に連れ去られる。
→川本家と零のところ、に誠二郎とモモが帰ってくる
→零が激昂して、「あなたのような人間の屑が入り込むのが嫌いなのだ」などと誠二郎を罵倒
→あかりが「零くん、今日は帰ってくれるかな」と言い、零は川本家と距離をおく
→川本家の三姉妹が話し合って、誠二郎と一日遊んで回ることに決める
→三姉妹と誠二郎は遊園地と水族館を回る
→最後にあかりが離縁を宣言
→誠二郎が抵抗
→あかりが誠二郎を平手打ちし、「あなたと縁を切れるなら、何発でも殴ります」と言う。誠二郎がその場を去る(終わり)

零が「結婚を考えている」と発言したことに関して、美咲おばさんは明らかに否定的なニュアンスで語っている。
その後のシナリオと併せても、「結婚を考えている」発言は零の暴走の一部として描かれていて、そうじゃないよと思ってしまった。
「川本家に借りた恩を返すべく、誠二郎と対峙する零」が原作だとすると、映画では「川本家に借りた恩を返そうとして暴走し、誠二郎をむやみに罵倒し、結婚をいきなり切り出す零」という描き方になっている。わざわざそのように変えた理由が分からない。
(原作にも、零が対局の賞金を調べてあらぬ方向で解決をしようとする描写は少しあるが、それはメインの筋書きではない。)

■零が林田先生に対して、学校を辞めると言う点
映画では、 上記の父親の件で零が思い悩み、林田先生に「学校を辞めます」と口走る場面がある。結局は辞めるのを思いとどまるのだが、たとえそうでも「学校を辞めます」というのは零が言うはずのない台詞である。

零は2巻の13話で、高校に通う理由として「でも多分『逃げなかった』って記憶が欲しかったんだと思います」と語っている。
その後の展開のなかでも、(棋士でありながら)わざわざ高校に通うことについては何度か言及があったはずだ。したがって、間違っても「高校を辞めます」などと言うことは無いだろう。



以上、原作の漫画と違う点があまりに多すぎて、満足行くものではなかった。
羽海野チカの描く原作のフィナーレに期待するとしよう。
  1. 2017/06/15(木) 00:39:42|
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GMOエンジニアトーク -先端IT技術を学ぶ会- 深層学習、ブロックチェーン、AR/VR 参加レポート
2017/05/13(土) 14:56:23


2017年5月11日GMOエンジニアトーク -先端IT技術を学ぶ会- 深層学習、ブロックチェーン、AR/VR
にブログ執筆枠で参加してきたので、記事を書きます。

資料は後日公開される予定です。
(講演のうち一つはスライド見つけたのでリンクを貼りました)

会場はこんなところ。(講演終了後の写真です)
GMO170511.jpg

IoT領域でのブロックチェーン実践



ブロックチェーン技術の実用例として色々なアプリケーションを開発している。
そのサンプルアプリの1つが、今回紹介するスマート宅配ボックスである。
受け取り本人だけが解錠できる。

紹介動画:「本人のみが受け取れる宅配ボックス」の実証実験 - YouTube
プレスリリース:
GMOインターネット・GMOグローバルサイン・セゾン情報システムズの3社の共同実験。
セゾン情報システムズって、小野和俊さんがCTOをしている会社で、モダンなSIerになろうとしているというイメージだった。ブロックチェーンの実証実験に協力しているとは知らなかった。

ブロックチェーンの最大の特徴は、
ただそこにデータが記録されてるだけで「いつ・誰が・何を記録したか」が、第三者による証明なしに記録される
ということである。
なぜ客観的な事実の証明ができるのか?

技術としては、ハッシュ関数、公開鍵と秘密鍵を使っている。

例えば仮想通貨のやり取りの場合、Aさんは「私はBさんに100コイン渡す」という内容を自分の秘密鍵で暗号化する。
他の人は誰でもAさんの公開鍵を用いて暗号を復号することができる。
このとき「Aさんの秘密鍵で暗号化したものである」ことが確認できるので、内容が間違いなくAさんの書いたものであると確認できる。

前のブロックのハッシュ値が、次のブロックの入力に含まれている。
もしも内容を改竄すると、後続のブロックのハッシュが一致しなくなり整合性が崩れるので、改竄ほぼ不可能。

スマートコントラクトとは
ソースコードそのものを暗号化して通信する……らしいが、ちょっとついて行けなかった。
詳しくはブロックチェーンサービス利用ガイド · ブロックチェーンサービス(Ethereum)利用ガイドを見てくれと言っていたので、リンクを貼ってごまかすことにする。

■世界の事例
ゲームのカードの所有権を管理する
「ujo music」音楽の直接販売

不動産登記 新興国だと土地の登記が信用できないから、ブロックチェーンで正しさを担保する。
議決権の行使

ドバイはブロックチェーンのナンバーワンになろうとして、開発に多額の金を投じている。

■GMOの取り組み
やってみたこと
(1)ゲームのコンテンツ管理
そこまで厳密な所有権管理は必要ないのでは。やめた。

(2)個人所有データを管理する
→今ある共有サービスで良いと感じた。
「ブロックチェーンじゃないとできない」ではない。

(3)GMOポイントをブロックチェーン管理?
一企業の責任範囲ならでーびーでいいや

(4)KYC (Know Your Customer:顧客確認)
銀行に口座を開設するときに必要な書類手続きのこと。
金融の口座開設ては本人確認に数千円のコストがかかる。
検索したところ、2016年8月に楽天証券が開発開始してるな。これから競争激化するのだろうか。
日本初!ブロックチェーン技術を利用した本人確認(KYC)システム共同開発開始|楽天証券のプレスリリース

検討中:
特許のアイデア保管
内容を誰にも伝えずにアイデア発生日時を保証する

■Q&A

Ethereum使用で使用料金かかるけど、ほかのブロックチェーンにすることで手数料が無料にできないか?
お金かからない設定もできる、が、金がかかるようにしてある
DDoS攻撃をしようにも、お金を払わないと攻撃できないので、攻撃されづらいという利点がある。

国を動かすことについて?
スマートコントラクトは色々な企業を巻き込むので、必然的に国レベルの話になります
国のほうも、アイデア募集してる場面があるので(詳細は言えないけど)、意見を言えば国は聞いてくれると思う

モバイルAR技術の最先端 Google Tangoを活用してバーチャル道案内スタッフを実現してみた



発表資料
モバイルAR技術の最先端 Google Tangoを活用してバーチャル案内スタッフを実現してみた from bmkhuong


■概要
スマホのカメラ画面の上に道案内スタッフ(ユニティちゃん)を登場させる。
でユニティちゃんが画面内で歩いて、目的地までの誘導をしてみる。
スマホの画面の向きや位置を変えると、それに応じてユニティちゃんの映り方が変わる。

ショッピングモール……行きたい店は?美味しいご飯は? 行き方がわからない
地下鉄や駅……道がわからない

■内容
GoogleTangoとは
AR(Augmented Reality : 拡張現実)/MR(Mixed Reality : 複合現実)のプラットフォーム。
奥行き知覚、モーショントラッキング、領域学習という3つのコア技術を持つ。

スマホはLenovo phab 2 proを使った。
(現在、Tangoに対応している唯一の端末。ASUSが「ZenFone AR(ZS571KL)」を日本で2017年夏に発売予定。)

ランドマーク=特徴的な物体をいくつか記憶する
カメラの視野が広ければたくさんのランドマークを取得できて認識精度があがる。

■Q&A
空港だと広くて通路が取りづらく、人が通ることで学習したときと環境が変わって難しいのではないか?
変わりやすい環境だと学習や認識は難しい。Tangoの弱点

ビーコンによる誘導はできたりする?
現手法であまり頻繁に変わらない環境なら認識は簡単。ビーコンより経済的なのでは

目的地までプロットするの大変だから、目的地指定したら経路案内するようにできるか?
先にマーカーを付与しておけば経路探索アルゴリズムを適用することは可能。

■感想
案内の前に一度対象となる空間を歩き回って認識させ、経路案内用のマーカーを(スマホ上で)配置する必要があるのがちょっと面倒そうに感じた。
Tango自体は近未来感があって楽しそう。

高橋ゆうこう

深層学習は金融市場をシミュレーションすることができるか?



■イントロ
2016年のヘッジファンドの成績を見ると、AIを使ったファンドだけ利益を上げている
最終的な目標は人工知能による資産運用を確立すること
今回はそのためのシミュレーション方法の開発、環境の構築を取り上げる
シミュレーション用のデータを増やしたいので、GANを用いて為替(ドル円)のデータを生成する。

イントロ、がんとは何か、実験計画、シツケン、まとめ、

■GANとは何か
Generative Adversarial Network
generator(データを生成するもの)とdiscriminator(真贋を見分けるもの)を同時に学習させる手法。
詳しい解説を見つけたので参照。はじめてのGAN
今回は深層学習のDCGAN(Deep Convolutional GAN)を使った。

CelebA という、世界のセレブの写真20万枚のデータセットを使って、新たな顔を生成するデモ。
Large-scale CelebFaces Attributes (CelebA) Dataset
フレームワークはTensorFlow。

■実験

2001~2015年のドル円相場のグラフから連続する100日分を切り出し、
100×100のpng画像に直す。合計3000枚程度のデータでDCGANを実行した

人工的なデータ(一直線のグラフとか、明らかに違うもの)をdiscriminator(判別器)に入れた
→判別成功

もう少しホンモノに近いデータを、モンテカルロ・シミュレーションで人工的に生成する
日々の差分がガウス分布(?)に従うように生成した? データをdiscriminator(判別器)に入れた
→判別成功


■Q&A
シミュレーションでデータ増やそう、という動機は何か? 値動きのシグナルを学習させる手法で上手くいくので、データを増やす必要はないのではないか?
根本にあるのは「値動きを的確に当てて大儲けするというよりは、環境の変化に強い安定したロジックを開発したい」というもの。
最終的にはほったらかしでAIに任せるやつを作りたい


画像でやる動機は? 最初に数値データがあるので数値のほうが扱いやすいし、画像にするとデータ量が増えるのでは?
(私の質問。100日分の終値の数値は100次元だが、100×100のpngだと10000次元データなのでわざわざデータの次元を上げる理由が気になった)
人間の視覚的な見た目による直感を取り入れるとどうなるのかを見てみたかった
ある程度ギャンブルで、試しにやってみた感じ。上手く行ったので結果オーライ。

2001年より前のデータでテストしたか?
今回はデータを入手できなかった。


以上。GMOの皆さんありがとうございました。

  1. 2017/05/13(土) 14:56:23|
  2. プログラミング
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